私たちのオフィスビルでは、防災管理者の選任が必要です。全テナントがそれぞれ防災管理者を選任しなければならない決まりがあります。
ビルに入居する際にその制度を知り、私自身が防災管理者の認定を取得しました。ただ、この認定は一度取得すれば終わりではなく、5年ごとに再講習を受ける必要があります。先日、その再講習を受けてきました。
その講習の中で、南海トラフ巨大地震に関する解説とシミュレーション映像がありました。映像は非常にリアルに作られており、まるで現実に地震が目の前で起きたかのような錯覚を覚えるほど、強い衝撃を受けました。
これまでにも南海トラフ巨大地震への備えについて何度も耳にしていましたが、映像で見るインパクトは言葉以上に強烈でした。名古屋市への具体的な影響として、以下のような被害想定が示されていました。
名古屋市の被害想定
- 名古屋では、地震発生から96分後に3.6mの津波が到達
- 津波が来る地域と来ない地域が分かれている
- 名古屋市南西部では、津波のリスクが高い
死者数の想定
約6,700人
帰宅困難者数
最大約15万1,000人
ライフラインへの影響
- 電力や通信は数日から1週間で復旧の見込み。しかし、上水道や下水道、ガスの復旧には数週間を要する可能性がある
- 約2,410万から2,710万軒が停電し、最大で約3,570万人が断水
- ガスの供給は最大で約180万戸が停止し、特に東海三県では約2~6割の家庭でガスが使用できなくなる可能性がある
- 固定電話は最大580万回線が使用不能になり、携帯電話も基地局の停電や通信の混雑で大部分が繋がりにくくなる見込み
避けられない未来
南海トラフでは、約100年から150年ごとに大規模な地震が発生しています。1707年の宝永地震、1854年の安政地震、1946年の昭和南海地震などが記録されています。そして、日本政府の地震調査委員会は、今後30年以内に南海トラフでM8.0以上の地震が発生する確率を70%から80%としています。これは過去のデータや現在のプレート運動を基にした予測です。
いま、できる備え
発生が避けられない以上、少しでも被害を減らすためにできることがあります。
- 地域の地形や土地の成り立ちを理解する
- 建物の耐震化
- 家具の固定
- 津波からの早期避難
- 家庭での備蓄
- ハザードマップの入手や防災情報の確認
ITの世界では、インターネットに常に接続されていることを前提にシステムが設計されることが多いです。しかし、災害時にはネットが使えない可能性があることも考慮しなければなりません。
災害で一時的に大きなダメージを受けたとしても致命傷にならないためには、
- まず命を守ること
- デジタルデータを守ること(クラウドバックアップなどを活用)
業種によって異なるかもしれませんが、IT業界では命とデータさえ守れれば、あとは時間さえあればどうにかなることが多いと思います。多くの会社でも、データさえあれば復旧が可能な場合が多いのではないでしょうか。
今回は、日頃からの定期的なデータバックアップと防災意識の重要性についてのお話でした。